日本の伝統工芸に新たな息吹を吹き込みたい
このコラムでは、11月19日の発表に向けて進む作品づくりの様子をレポートしていきます。
次回は、京都造形芸術大学キュレトリアルディレクター 徳田佳世さんのグループを紹介する予定です。
REVALUE NIPPONについて

「伝統工芸って、もっと古臭いものだと思って、正直距離を感じていた。でも自分が旅の中でいろんなものを見て、触れてみると、むしろ逆。すごくカッコいいし、魅力的。どうしてこんなに素晴らしいものを今まで知らなかったんだろうと思いました」
現役を引退後、世界を旅していた中田英寿が「自分の生まれ育った日本についてもっと知りたい」と、日本全国を巡る旅をスタートしたのは、2009年の春だった。
以来、沖縄から徐々に北上し、現在まで35府県を踏破。それぞれの県を5日から1週間、長い時は2週間かけて周るこの旅で、中田は多くの人、モノ、景色と出会い、日本を「再発見」してきた。

そんな旅の中でとりわけ彼の興味をひいたのが、各地に今もなお残る数々の伝統工芸。中田は各地で工芸家のもとを訪ね、そのこだわりに耳を傾け、時には制作の体験も行った。
「木工や金工、竹細工もやらせてもらいましたし、筆を作ったり、硯を掘らせてもらったり。やっぱり見るだけでなく、自分でやってみると、その難しさ、技術の凄さが分かる。ロクロはいろんなところで回してきましたから、最初のころよりだいぶうまくなったと思いますよ(笑)」
しかし現代の生活において、伝統工芸は恵まれた状況に置かれていない。“消費”が前提の社会においては、そのこだわりも卓越した技術も、なかなか魅力を発揮できないでいるというのが現状だ。
「昔のままの形そのままだと、今の生活に馴染まないものも多いし、今使えそうなものでも存在を知られていない。でもだからといって、素晴らしい伝統工芸が衰退していくのはあまりにも惜しい。
だから工芸と今の生活が接点を持つためのきっかけを作りたいと思ったんです。それが『REVALUE NIPPON PROJECT』を立ち上げるきっかけになりました」
「REVALUE NIPPON PROJECT」では、伝統工芸家とさまざまなジャンルで活躍するアーティストなどがコラボレーション。これまでになかった作品を創り上げる。出来上がった作品は、中田英寿が代表をつとめる「TAKE ACTION FOUNDATION」が主催するチャリティガラで発表され、その場でオークション。集まった資金は、伝統工芸界の活性化のために使われることになる。
昨年は陶磁器をテーマに奈良美智や佐藤オオキ、藤原ヒロシなどが工芸家とコラボ。完成した作品と特別な体験型オークションでなんと2400万円以上の売上を記録した。
そして今年のテーマは「和紙」。どんなメンバーのどんな作品が準備されているのだろうか……。
プロジェクト体制

今年の取り組みについて
「和紙は日本各地にあって、それぞれが特徴を持っている。丈夫で長持ちするし、加工も比較的簡単。いろいろ応用できる可能性を持っているんじゃないかと思ったんです」
中田英寿は、今年のテーマを和紙にした理由をそう語る。確かに今回プロジェクトに参加しているだけでも高知、徳島、京都など、地域色は強い。またチームによって、建材として利用したり、印画紙のように写真をプリントしたりと和紙の新たな可能性も見えてきそうだ。
「今年は、節電の影響でエコな生活が改めて注目されましたが、地球環境にやさしい自然素材の和紙は、その意味でも高いポテンシャルがあります。これをきっかけに和紙に注目が集まるようなことになれば面白いですね」




































