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地球の悲鳴 APRIL 2008 |
文=ポール・サロペック 写真=パスカル・メートル サハラ砂漠の南に位置する半乾燥地帯サヘル。スーダンのダルフール地方で拘束され、解放後も取材を続けた著者が、その貧困と紛争の実態を伝える。2006夏・ダルフール―フラウィヤ村への道 2本のわだちが目の前に延びている。 チャドとの国境からスーダン西部の紛争地帯ダルフール地方へと続く道は、とても道と呼べるしろものではない。サヘルでは、どこに行ってもこんな調子だ。地図にはなく、目にも見えない境界線が、いたるところに存在する。私たちは絶えず、無意識のうちにそうした線を踏み越えているのだ。 拘束・監禁されていたとき、面会にきた米国人兵士がうんざりしたように言った。「空から見たって、何もない風景が延々と続いているだけなんだ」。よそ者の目には、そうとしか映らないだろう。だが、一見何もない大地にも、見えざる境界線が縦横無尽に走っている。部族や氏族、個人が土地の所有権を主張し、境界線は季節や戦ごとに、その位置を変える。あいまいな領域など皆無だし、うっかり境界を越えれば命の保障はない。そのことを知る者と知らない者を隔てる線こそが、サヘルで最も重要な境界かもしれない。 そして、サヘルそのものもまた、1本の境界線にほかならない。 サヘルとは、アフリカ大陸北部の、おおよそ北緯13〜16度線に沿って東西に広がる地域で、サハラ砂漠と熱帯雨林を隔てる半乾燥性の草原地帯を指す。もともとはアラビア語で岸辺を意味する言葉だ。アラブ人と黒人、イスラム教徒とキリスト教徒、遊牧民と農民、茶色の大地と緑の風景。サヘルはこれらを分かつ境界であると同時に、世界で最も貧しく無力で忘れられた5000万人が、必死の思いで生きる場所でもある。私たちはダルフールで、34日間だけ彼らの世界に生きることになった。 |
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