ニュース

トップ > ニュース > ミクロネシアの島々に住んでいた小さな体の人類を発見

その他のニュース

ミクロネシアの島々に住んでいた
小さな体の人類を発見
2008年3月14日

 ミクロネシアのパラオ諸島で、小さな体の人類の化石が発見されました。化石は、約1400〜3000年前に島に住んでいた現生人類(ホモ・サピエンス)のものですが、新種、ホモ・フローレシエンシスと共通する特徴がいくつかあります。2003年に、インドネシアのフローレス島で“ホビット”(J.R.R.トールキンの小説に登場する、身長が人間の半分くらいの架空の民族)と呼ばれる化石が発見されて以来、この化石が何らかの理由で身長が縮んだ現生人類のものなのか、それとも新種、ホモ・フローレシエンシスのものなのか、という激しい議論が巻き起こっていました。今回、The Public Library of Science journal PLoS ONE(科学者や医師による非営利団体PLoSが発行している、国際的なオンラインジャーナル)に、ナショナル ジオグラフィック協会が資金を提供している研究・調査プロジェクトで、ヴィトヴァーテルスラント大学、ラトガーズ大学、デューク大学の研究者たちから成るリー・ベルガー率いる研究チームの新たな研究論文が発表されました。

 パラオはフィリピンの南東に位置し、本島であるバベルダオブ島と、その南西に散らばる、岩でできた数百の「ロックアイランド」と呼ばれる小さな島々から成っています。ロックアイランドには洞窟や岩窟住居があり、こうした場所の多くから化石化した人骨が発見されています。ベルガーたちが報告した今回の化石も、Ucheliungs洞窟とOmedokel洞窟という場所で発見されました。二つの洞窟は昔、埋葬場として使われていたようです。どちらの洞窟からも、他の個体と比べて小さな骨格が発見されました。この骨格はホモ・フローレシエンシスや、アウストラロピテクス属の小さな個体程度の大きさでした。放射性炭素年代測定法によると、これらの化石は1410〜2890年前のものだと考えられます。また、Omedokel洞窟の入口では、940〜1080年前のものと考えられる大きな個体の化石も発見されました。

 二つの洞窟では今後も多くの化石の発見が見込まれており、さらなる徹底的な調査が必要です。これまでの調査では、体重43キロ程度だったと推測される男性の人骨や体重29キロ程度の女性の人骨など、十数個の個体を分析した結果、これらの小さな体の人骨は、現生人類に特有だと考えられている頭蓋および顔面の特徴を多く備えていることが判明しました。このため、発見された化石は、何らかの理由で身長が縮んだ人類の個体群のものである可能性が高いです。

 孤立した島の住民が本土の住民に比べて身長が低くなるという現象は、たびたび確認されています。また、この現象は人間だけでなく、様々な動物においても見られます。シベリア沖、カリフォルニア沖、地中海沖に生息していた、絶滅したマンモスやゾウなどがその例です。あるいは、3000〜4000年前、島に少数の体の小さな人々がいて、徹底的な近親交配と環境上の要因の結果、体の小さな集団が形成され、その子孫が1400年前までパラオに住み続けていたのかもしれません。

 パラオで発見された化石は、現生人類と共通の特徴を持っているだけでなく、ホモ・フローレシエンシスに見られる特徴も併せ持っています。小さな体と顔、下あごの欠如、奥行きのあるあご、大きな歯、小さい眼窩などです。こうした共通の特徴はあるものの、ベルガーの研究チームはパラオの化石とフローレス島の化石との間に直接関連があるとは考えていません。ただ、この新たな発見により、ホモ・フローレシエンシスが現生人類とは別の種である証拠だとされたいくつかの特徴は、実際にはよく見られる適応であり、フローレス島で発見された化石は身長が低い人類だったのではないかとも考えられます。

 パラオの化石を詳細に分析しても、ホモ・フローレシエンシスの位置づけをめぐる論争に決着をつけることにはなりそうもありません。フローレス島の化石は脳が小さかったのですが、パラオの化石にはこの特徴が見られないからです。それでも、今回の発見は、フローレス島の化石に見られたいくつかの珍しい特徴は先祖伝来のものというより、環境によるものだと示唆しています。何はさておき、パラオで発見された人骨は、人類の集団における、孤立した島の住民の身長が低くなる現象の変遷や、古代オセアニアにおける入植に関して、大いに理解を深める助けとなるはずです。


BACK NUMBER