世界17カ国の消費者の
環境意識・行動調査「グリーンデックス2010」
日本は13位 インドがトップ 最下位は米国
2010年6月4日
環境にやさしい行動の妨げとなっている要因は、
コストよりも「グリーンウォッシング」と指導力の欠如
米国ナショナル ジオグラフィック協会と国際世論調査機関グローブスキャンは、6月5日の国連世界環境デーを前に、「グリーンデックス(Greendex)2010:消費者の選択と環境――国際比較調査」の結果を発表しました。「グリーンデックス」は世界17カ国の消費者を対象として、環境に影響を与える消費行動の現状と変化を把握することを目的とした調査です。そのために、交通機関の選択や家庭におけるエネルギー資源の利用、食品および日常品の購入といった消費状況に加えて、環境への悪影響を最小限に抑えるために消費者がどのような行動をとっているかを評価・比較しています。2008年、2009年に続いて3回目となった今回の調査では、調査国17カ国中10カ国で、この1年間に、環境に配慮した行動が増加していることがわかりました。調査が始まった3年前以来、国別総合ランキングの最下位は依然として米国で、その次にカナダ、フランスが続きますが、得点自体には改善が認められます。
今回の調査では、2008年から調査に参加している14カ国のうち13カ国で、2008年よりも2010年の方が環境に配慮した消費行動が増加しているという結果が出ました。さらに、企業が環境保護を考慮しているようにうわべだけを装う、いわゆる「グリーンウォッシング」が、環境の改善にとって最大の妨げとなっているという事実も明らかになりました。より環境に良い行動をとるための妨げとなっている10の阻害要因のうち、「グリーンウォッシング」を指摘する声が最も多く、政府および企業の行動の欠如が僅差でこれに続いています。
「グリーンデックス2010」は、消費者の行動を総合的に評価するため、「住宅」および「交通」、「食品」、「消費財」の部門別に65の指標を設けて調査を行いました。世界17カ国の平均的な消費者の消費行動を、環境に与える影響によって数値化し、ランキングしています。こうした調査は他に例がありません。
2008年と同様、今回の調査で上位にランキングしたのはすべて経済的に発展途上にある国々で、上から順にインド、ブラジル、中国、メキシコでした。2008年に比べて環境と調和した持続的な消費行動が大きく増えたのはインド、ロシア、米国です。インド、中国、メキシコ、ロシア、ハンガリー、日本、英国、カナダの平均的な消費者の間では、環境と調和した持続的な消費行動が毎年着実に増加しています。反対に、ドイツ、スペイン、スウェーデン、フランスではわずかながら前回よりも減少しました。
前回の2009年の調査と同じく、今回、全般的にグリーンデックス得点が大きく伸びたのは、住宅部門でした。家庭で消費するエネルギーや資源に関して、より持続的な行動が増加しているといっていいでしょう。特に米国、ハンガリー、英国、オーストラリアでは得点の増加が著しく、消費者の間で家庭におけるエネルギーの効率的な利用が進んでいることがわかります。国によっては、経済上の施策がこうした変化の誘因ともなっているようです。交通、食品、消費財の各部門における個人行動の変化はさまざまで、改善した国もあれば、悪化した国もありました。
消費者がこの1年間で、より環境と調和した持続的な行動をとるようになった大きな理由としては、コストと環境への懸念が挙げられます。「エネルギー消費が減った」と答えた消費者に理由(2つ選択)を尋ねたところ、多くの人が理由の1つとしてコストを挙げていますが、環境への懸念を指摘した人も約20-50%にのぼりました。
また今回の調査では、より環境に配慮した持続的な行動を進めていくうえで、障害となっている要因がたくさんあることがわかりました。中でも注目すべきは、「グリーンウォッシング」(44%が指摘)が、コストなどの経済的要因(31%)よりも高い割合となった点です。もうひとつ、大きな障害となっているのが、「政府や産業が積極的に行動しないのに、個人が努力しても無駄だと思う」(40%)という意識でした。「グリーンウォッシング」と、政府・企業の消極性が直接または間接的に持続可能な消費行動を妨げ、グリーンデックスの得点を低下させているのではないかとグローブスキャンは分析しています。
前回と同様、今回の調査でも、インドの消費者が調査国の中で、最も環境と調和した持続的な生活様式をとっているという結果が出ました。同時に、環境に配慮した行動の妨げとして「環境問題の深刻さが誇張されていると感じること」を挙げた割合が最も多かったのもインドです。「環境問題は誇張されていると思うから、環境にやさしい行動をとる気がしない」と答えたのが調査国全体では消費者の4分の1弱だったのに対し、インドでは消費者の40%にのぼりました。将来インドの経済発展が続いていけば、こうした考え方が、この国で長い間受け入れられてきた持続可能な生活様式をストップさせる要因となるかもしれません。
今回の調査結果について、グローブスキャンのロイド・ヘザリントンCEO(最高経営責任者)は、「昨今の経済問題にもかかわらず、持続可能な生活様式が主流となり始めているのは明らかです。多くの国で年々、得点が上がっているのを見れば、環境問題に対する消費者の関心がどんどん強くなっているのがわかります」と指摘します。
またナショナル ジオグラフィック協会のテリー・ガルシア副理事長は「グリーンデックスは今後も、地球規模および各国における持続可能な消費行動の変化を追跡できる、重要な調査となるでしょう。短期的には、広く消費者の意識を高めることで、持続可能な消費活動を奨励していければと願っています。世界各地で改善が認められることには励まされますが、今や世界の誰もが、自分の行動が環境に及ぼす影響を自覚し、環境フットプリントを最小限にすることを考えなくてはならない状況に迫られているのです」と述べています。
自国が直面する最も重要な課題として「環境」を挙げた人は、米国でわずか1%だったのに対して、中国では2009年より15%上がって37%でした。インドとロシアでも、環境を最も重要な国家問題としてとらえる割合が増加しており、中国と並んで、環境を自国の問題としてとらえる意識が非常に高くなっています。
国別総合ランキングでは新興国が最上位グループを占めたのに対して、最下位6カ国はいずれも先進国でした。
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