
サンゴやサンゴ礁についてもっと知りたいあなたのために、様々な疑問にお答えします。
- サンゴ礁にはどんな生物がいるの?
- サンゴ礁は枝やテーブル、ドームのような形をしていて、その隙間には魚や貝などさまざまな生物が暮らしています。そこに大きな魚やエビなどが集まり、スズメダイ、ベラ、チョウチョウウオ、ブダイなど、原色の鮮やかな体色の魚が見られます。そして、サンゴ礁の堆積物には底生生物であるナマコ、ウニ、星の砂として有名な有孔虫(ゆうこうちゅう)などが見られます。他にもウミヘビ、ガンガゼなどの危険生物もたくさんいます。ミクロなサイズの生物としては植物プランクトン、動物プランクトン、ピコ・ナノプランクトン、微生物などがいます。
サンゴの体の中には褐(かっ)虫(ちゅう)藻(そう)という植物プランクトンが住んでいます。褐虫藻はサンゴが呼吸して出す二酸化炭素と海の中に届く太陽の光で光合成を行い、サンゴの栄養である有機物を作ります。サンゴはその栄養を吸収しながら生きています。また、サンゴは入り組んで生えているため、小さな魚たちが危険な敵から身を隠したり、あるいは卵を産む場所としても利用できます。ですから、たくさんの魚や貝たちが集まってきます。そこで互いに食べたり食べられたりしながら共生しています。このように、海の中でサンゴを中心に、お互いに利用しながら生活している生物たちの世界を、サンゴ礁生態系といいます。
- サンゴ礁はどのようにできるの?
- サンゴ礁を作るサンゴは造礁(ぞうしょう)サンゴと呼ばれ、日光の届く浅い海に住んでいます。この造礁サンゴと植物プランクトンである褐虫藻、その他さまざまな生物によってサンゴ礁が作られます。造礁サンゴの体内に褐虫藻が共生し、光合成をします。その養分を造礁サンゴが吸収し、褐虫藻が出す酸素をもらって石灰質の骨格を作ります。生息場所の環境に応じ、長い時間を費やして枝状、塊状、テーブル状などの骨格が積み重なってできる地形がサンゴ礁です。サンゴ礁には主に3つの形があります。
1.裾礁(きょしょう)
サンゴ礁が陸地を囲むように海岸に接して発達します。日本のサンゴ礁はほとんどがこの形で、東南アジアに多く見られる形です。
2.堡礁(ほしょう)
陸地とサンゴ礁の間に深さ10〜80メートルの礁湖という浅い海を作り、沖合に発達します。代表的な堡礁は長さ2,000kmにも達するオーストラリアのグレートバリアリーフで、陸からサンゴ礁のふちまで10〜100キロも離れています
3.環礁(かんしょう)
中心に陸地がなくサンゴ礁だけがリングのようにつながって海面に出ます。太平洋やインド洋の小さな島々に見られる形です。高さがとても低いため、海水面が上昇すると沈んでしまう可能性があります。
- サンゴは動物?植物?
- サンゴは動物です。イソギンチャクやクラゲの仲間で、プランクトンを捕まえて食べます。体の中に褐虫藻という植物プランクトンが住んでいて、褐虫藻が光合成でつくる栄養をもらっているため、光をたくさん浴びられるよう、浅くて明るい海に住み、光を求めて木の枝のように伸びます。
サンゴの体は上に口を開いた袋のような形をしています。口と胃腔という消化管でできていて、口から食べ物を食べて糞をします。口の周りには指のような触手があり、中に刺胞という毒針が入っていて、この触手でプランクトンを捕まえて口に運びます。体の下には石のように硬い骨格があります。
- サンゴが住めるとこはどんなところ?
- サンゴは、水温が18〜30度くらいまでの温かい海で暮らしています。そのため、サンゴ礁も、熱帯、亜熱帯と呼ばれる、気温が高い地域の海に多く見られます。世界で最もサンゴの種類が多いのは、インドネシアとフィリピン、パプアニューギニアに囲まれた海で、ここには450種以上のサンゴが暮らしています。
サンゴ礁が発達するためには、最低でも水温が18度ぐらいは必要だといわれています。造礁サンゴは体内の褐虫藻の光合成のために太陽光が必要なので、水深20mくらいまでに分布していますが、光線が強い熱帯の海なら水深80mくらいまでサンゴが見られます。
- サンゴの体内に藻(も)が住んでいるの?
- 造礁サンゴは、体内に共生藻といわれる小さな藻をたくさん住まわせていて、共生藻は活発に光合成をしています。造礁サンゴは、体内の共生藻の光合成によってエネルギーの多くを得ていると考えられます。
- サンゴは何を食べているの?
- サンゴやイソギンチャク、クラゲなどの刺胞動物は、口が1つだけ開いた袋(巾着)状の体を持っていて、口のまわりを触手が取り囲んでいます。触手の中には、刺胞という他の動物をとらえるための毒針が入っています。サンゴは触手で動物プランクトンを捕らえ、口から体内に取り込み、消化して栄養を摂ります。
- サンゴの天敵は何?
- サンゴの天敵の代表は、オニヒトデとサンゴ食巻貝です。オニヒトデは表面のトゲに毒を持ち、直径50cmほどにもなる大型のヒトデで、サンゴに覆い被さり、肉の部分だけを食べます。沖縄や奄美地方で大量発生し、サンゴに大きな害を与えています。サンゴ食巻貝の仲間のシロレイシガイダマシは、殻の長さが2cmほどですが、サンゴの裏側や枝の間に入り込み、肉の部分を食べます。九州や四国、本州の沿岸などで多く発生しています。
- サンゴの白化現象とは何ですか?
- サンゴの白化現象は、サンゴ礁を減少させる大きな原因の一つとなっています。白化現象とは、造礁サンゴが微生物等により共生藻を失って、透明なサンゴ組織を通して白い骨格が透けて見え、白くなる現象です。白化した直後、サンゴはまだ生きていますが、白化した状態が長く続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物、あるいは動物・植物プランクトンの有機物を受け取ることができなくなり、死んでしまいます。白化現象はサンゴがストレスを受けて微生物等により共生藻を失うことによって起こります。ストレスの原因としては、高水温・低水温・強い光・紫外線・低い塩分などが考えられています。
- 地球温暖化はサンゴ礁やサンゴにどんな影響を与えるの?
- 大規模なサンゴの白化現象の報告は1980年代以降急激に増加しています。この増加は地球温暖化によるものだといわれ、1997年から1998年には温暖化によって世界の70%のサンゴ礁に白化現象が起こってしまいました。地球温暖化のシミュレーションにより予想される今後の海水温の上昇と、過去にサンゴの白化を引き起こした海水温を併せて考えると、今後サンゴの白化の頻度はますます高くなり、今後さらに白化が進むのではないかと心配されています。
1997年に「地球温暖化防止京都会議」が開かれ、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスについて、いつまでにどれだけ減らすのか、国ごとの約束が京都議定書で決められました。しかし、温暖化防止のためには、国や政治家に頼るだけでなく、私たち一人ひとりがエネルギーの消費を少なくするように努力することがとても大切です。
- サンゴ礁がいなくなると、人や自然にどういう影響があるの?
- サンゴ礁の危機は、サンゴ礁で暮らす生物や、サンゴ礁の恵みで生活する人々の危機でもあります。サンゴ礁がなくなると、そこに住んでいた生物たちは住処をなくし、それらを餌にしていた大きな魚たちも生きていけなくなります。漁業や観光業などで働き、サンゴ礁のおかげで暮らしている人々も、仕事を失くしてしまうのです。
- 白化したサンゴはもう助からないの?
- 白化したサンゴは、微生物等により褐虫藻を失うために光合成ができなくなり、栄養が十分に確保できなくなります。水温が低下して、適当な水温条件になると、褐虫藻の光合成能力が元に戻り、サンゴは再び有機物を褐虫藻から得ることで、白化が解消される場合もありますが、白化が長時間に及ぶとサンゴは死滅してしまいます。白化したサンゴは、サンゴが食べる餌がある限り、必ず死んでしまうとは限らず、回復するものも多くありますが、高水温状態が長く続き、餌がなくなると、生命力が弱まり、回復の力も衰えます。種によっては白化しにくいサンゴや、白化しても回復が早いものもあるようですが、サンゴが白化する原因である、何らかのストレスを取り除く必要があります。
- サンゴ礁を守る、あるいは回復させるにはどうすればいいの?
- 世界のサンゴ礁の58%が人間の活動によって脅かされていると言われています。沿岸のリゾート開発、魚の乱獲、ダイナマイト漁など破壊的な方法での漁業、汚水やゴミ投棄などの海洋汚染、森林伐採や農地開発による土砂の流出、そして地球温暖化など人間が原因を作っています。サンゴ礁やサンゴの健康度をモニターすること、そしてサンゴが衰退する原因を明らかにすること、また、人間の活動がサンゴの環境ストレスに対する抵抗力を弱めていることがあれば、その点を改善することが当面の対応として考えられます。健康なサンゴ礁を取り戻すため、私たちが積極的に研究、活動を行なっていくことが大切です。